HTLV-1質問箱

HTLV-1感染によっておこる病気

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HTLV-1感染によっておこる病気

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ATL(成人T細胞性白血病)

ATLってどんな病気?

HTLV-1感染者におこるHTLV-1が感染したTリンパ球による白血病・リンパ腫のことを言います。

HTLV-1感染者の多い、九州・沖縄地方に多い病気です。全身のリンパ節が腫れたり、皮膚が赤くなったり、肝臓がはれたりします。男性がやや多く、30歳を過ぎて発症し、平均発症年齢は60歳です。家族内に同じ病気の人がいることもあります。

ATLかどうかは、血液の中にATL細胞(はなびら細胞ーはなびらのように見える細胞ー)があって、更に増殖HTLV-1感染細胞のクローナリティ(単一性:1種類の感染細胞による増殖)の検査が陽性であるかどうかで最終的に判断します。

またATLは急性型、慢性型、くすぶり型、リンパ腫型、急性転化型に分類され、経過は急激なものからゆっくり進行するものまでさまざまです。

ALT細胞

どんな治療をするの?(ATL)

急性型やリンパ腫型・急性転化型では化学療法や骨髄移植(造血幹細胞移植)による治療を行います。慢性型やくすぶり型では定期的に通院していただき経過を観察することになります。

治療の流れは?(ATL)

急性型やリンパ腫型・急性転化型では入院後、種々の検査により診断を確定してから治療が始まります。化学療法を行うか骨髄移植で治療するかの判断もこの時行われます。

化学療法の場合は、くりかえし化学療法を行い、完全寛解(ATL細胞が確認されなくなる)を目指します。入院を含めて4~6ヶ月はかかります。そのあとも長期間、抗がん剤を続けることになります。

骨髄移植を行った場合は、免疫抑制剤を継続的に使用します。

化学療法とは?

いくつかの抗がん剤を組み合わせて治療を行なうことです。

一般の白血病・リンパ腫の治療に用いられる4~6種類の抗がん剤を組み合わせて周期的に投与します。投与の方法は抗がん剤の種類により経口投与(飲み薬)から点滴による投与までさまざまです。

初期治療では少なくとも3ヶ月くらいの入院が必要になります。

骨髄移植とは?

大量の放射線照射と抗がん剤を使用して、患者の方の骨髄細胞をほとんど空にしてから、組織適合検査済みのドナー(提供者)の骨髄細胞を移植します。

患者の方の肉体的負担が大きいため、比較的若い方(40歳代まで)が対象になります。高齢者が多いATLでは、適用出来る患者の方の割合が少ないのが実情です。

医療費はどのくらいかかる?(ATL)

他の白血病、リンパ腫の場合と変わりません。もちろん健康保険が適用されます。

治療費用については、健康保険による高額医療費補助があるため、健康保険適用部分に関しては標準的収入世帯では月額約8万円ほどの自己負担が上限になることがほとんどです。

HU(HTLV-1ぶどう膜炎)

HAMってどんな病気?

HAMはHTLV-1関連脊髄症の略称です。

HTLV-1感染者におこる、徐々に進行する両下肢の筋肉が固く緊張した感じの不完全な麻痺が症状の中心となる病気です。

頻尿や頑固な便秘、軽度の感覚障害、発汗障害を伴い、慢性に経過します。主症状の歩行障害は軽度の引きずり歩行から、足の突っ張りが強くなると内反尖足(つま先が内側に反り返る様なかたち)となり、進行すると下肢筋力の低下とともに車椅子になる場合があります。

排尿障害は夜間の尿回数が増え、日中も2時間以内の頻尿、尿を出しても残った感じのある残尿感、尿漏れ(尿失禁)などがおこります。

診断は特徴的な症状と経過に加え、血清及び髄液の抗HTLV-1抗体が陽性であること、他の原因を除外することにより総合的になされます。

どんな治療をするの?(HAM)

HAMの活動性(病気の進行強度)検査のため、髄液検査で抗HTLV-1抗体、髄液IgG(髄膜炎、脳炎などで増える物質)、ネオプテリン(感染症や自己免疫疾患などで体内で増える物質)の測定および末梢血HTLV-1ウイルス量測定をします。

通常、脊椎MRIは正常なので頭部を含めたMRIの検査を受け、また合併症の検査で眼科、耳鼻咽喉科、泌尿器科を受診します。

病気が急性進行期と判断された場合はステロイドパルス療法やαインターフェロン療法を行います。

治療としてステロイドパルス療法を実施した場合は、メチルプレドニン点滴 1g/日投与を3日間行うと同時に、ステロイド内服1mg/体重Kg投与を行います。その後ステロイド内服を減量して5-10mg/日の維持量にします。この治療の行程は入院で約1ヶ月かかります。

またαインターフェロンを用いた療法では、αインターフェロンを毎日30日間筋肉注射すると同時にステロイドの内服を併用します。退院後、αインターフェロンを週2~3回に減量して最低4ヶ月通院により投与します。

HAMは慢性に経過するため、治療は生涯続きます。

最初の治療後、改善がみられなかった患者の方では、リハビリテーションか筋弛緩剤のみの治療法を選択することもできます。中には便秘を改善する為の下剤だけを使用している方もいます。

治療の流れは?(HAM)

HAMの疑いがあれば、まず神経内科を受診し診断を確定することが必要です。

その上でHAM単独かHAMに伴う合併症(涙や唾液が出にくい、皮膚乾燥、手足のしびれなどを認めるシェーグレン症候群、肺障害、関節症、ぶどう膜炎、成人T細胞白血病ATLなど)があるかどうかの精密検査を受けます。

また末梢血のHTLV-1プロウイルス量、髄液の抗HTLV-1抗体価やネオプテリンの測定を受け、病状の現在の活動性を判定します。

HAMによる排尿障害は神経が原因によるものですが、その結果として膀胱がゆるんでいるのか、膀胱が突っ張っているのか、膀胱の緊張が協調不全を起こしているのかを泌尿器科で検査してもらい、それぞれの原因に適した薬を使用します。

これらを総合的に判断し、治療方針を決定します。

治療にはステロイドホルモンやαインターフェロンが有効です。しかし、病気の活動性が低くあまり進行がみられない場合には、ビタミンC大量療法やサラゾピリン・エリスロマイシン少量療法など、よりマイルドな免疫調整作用を期待した治療がよいこともあります。

また、下肢の筋力低下や関節が痙性で拘縮しないようにリハビリテーションも大切です。HAMは難治性で、治療後でも約5割の方で症状が再燃進行しますので、そのつど福祉制度や福祉器具を利用し、日常生活動作を維持向上させていく必要があります。

インターフェロンとは?

インターフェロンという言葉は、interfere(妨害する、相互干渉する)という英語から作られました。

ウイルスが侵入している細胞に、別のウイルスが侵入すると、お互いのウイルスの増殖を抑える物質が作られる現象がみられ、この物質がインターフェロンと名づけられました。

インターフェロンの作用にはウイルスの増殖を抑える作用、細胞の増殖を抑える作用、免疫を調節する作用があります。ウイルス増殖抑制作用でC型ウイルス肝炎の治療に用いられ、細胞増殖を抑える作用から白血病、多発性骨髄腫、腎臓癌、菌状臭肉腫などの癌治療に使われています。

インターフェロンにはいくつか種類があり、HAMやC型慢性肝炎に対してはαインターフェロンを、多発性硬化症にはβインターフェロン、ATLにはγインターフェロンが用いられています。

副作用として発熱、脱毛、白血球減少、抑うつなどがあります。

ステロイドとは?

人間の副腎から合成分泌される重要なホルモンです。通常は人で一日に20mgほど体内で産生されます。

ストレス排除や抗炎症作用、電解質の維持作用、血圧維持など大切な作用をもっています。HAMでは初期治療や維持療法に用いられています。膠原病などで用いられるような長期大量の投与は通常HAMでは必要ありません。

副作用として骨粗鬆症、糖尿病、高血圧、肥満、にきびなどが見られ、それぞれの対策をきちんととる必要があります。

AZTとは?

AZTはアジドチミジンというエイズの治療薬です。

ヒト免疫不全ウイルス(HIV)やHTLV-1はRNAウイルスで、リンパ球に感染後ウイルスRNA遺伝子をDNAに変換し、私たちの遺伝子の中に組み込みます。

AZTはRNAをDNAに変換する逆転写酵素を阻害し、ウイルス感染細胞の増加を抑制する薬です。HIVのウイルス量を減少させるほか、HAM患者ではHTLV-1のウイルス量を減らすという報告もありますが、まだHAMに対する効果は十分に確かめられてはいません。副作用として肝機能障害があります。

医療費はどのくらいかかる?(HAM)

ステロイドパルス療法を含めた入院加療費は1ヶ月約35万円で、αインターフェロンを用いた場合は約20万円です。但し健康保険による高額医療費補助があるため、健康保険適用部分に関しては標準的収入世帯では月額約8万円ほどの自己負担が上限になることがほとんどです。

通院による加療の場合、患者の方へのアンケート結果では1ヶ月あたりの通院費5000~30000円未満の方が約50%でした。週2回インターフェロンを使用している方では月平均4万円です。また医療費が5万円以上かかっている方も約2%おられました。

HU(HTLV-1ぶどう膜炎)

HUってどんな病気?

HTLV-1キャリア(感染者)に発病するぶどう膜炎(眼内の炎症)です。

眼の前に蚊が飛んでいるような症状(飛蚊症)や霧がかかった感じ(霧視)、視力低下などの症状が、急に片眼あるいは両眼に生じてきます。強い場合は視力が0.1以下に低下することもあります。

どんな治療をするの?(HU)

副腎皮質ステロイド薬がよく効きます。点眼あるいは内服で治療します。多くの患者の方では、HUは1~2ヶ月のステロイド治療で治癒し視力も正常に回復します。

約半数の患者の方でHUが再発しますが、その時は最初と同じ治療をします。再発する頻度は1年に数回~数年に1回程度まで患者の方により大きな差があります。

治療の流れは?(HU)

飛蚊症、霧視、視力低下などの眼の症状を生じた場合は、病院の眼科を受診してください。

ぶどう膜炎と診断されたら、ぶどう膜炎の原因を調べる検査があります。その結果、血清HTLV-1抗体が陽性で、ぶどう膜炎を起こす他の原因や病気がなければ、HUと診断されます。

HUと診断されれば、HAMやATLを合併していないかを内科で検査してもらいます。

HUだけであれば、眼科でステロイドの点眼や内服で治療することになります。おおよそ1~2ヶ月の治療で大多数の患者の方は治癒します。

(HU)目の様子

医療費はどのくらいかかる?(HU)

HUに限らずぶどう膜炎は保険適応で、保険診療の範囲で必要な検査と治療ができます。医療費は通常の眼の病気と同じくらいです。